リハビリテーション病棟の開設に先立ち、専門医も増員しており、より幅広い診療を行っています。
最近は、2階のコンビニ前にドーナッツや和菓子の定期的な出店もあり、感染症対策を続けつつ病院により活気が生まれています。
現在、薬剤師のスタッフは7名と助手2名で構成され、早期から病棟業務を実施しております。
当院では、電子カルテ・オーダリングシステム・全自動錠剤分包機、サテライト薬局(病棟配置薬局)、クリーンベンチ、安全キャビネット、パラスター、バーコードリーダーを導入しています。
日々、薬剤師が患者様の為に何ができるかを考え、多職種連携のもと以下の業務を行っております。
- 医療安全管理業務(リスクマネジメント)
内服、注射剤の調剤、払い出し、院内製剤の調製、救急カートや病棟配置薬の管理、抗癌剤やTPNの調製、疑義照会、問い合わせ対応、定期内服薬のセット - 医薬品在庫管理業務(コストマネジメント)、発注業務
- 外来及び入院患者の癌化学療法の推進
- 教育・研修体制の強化と人材の確保及び育成
- 委員会活動の推進
早いうちから病棟業務へ参加でき、委員会活動・学会への参加がしやすい環境です。定期的な症例検討会もあるため、病院薬剤師の業務全般を学べます。
▼薬剤室業務について
医療安全管理業務(リスクマネジメント)
・内服薬の調剤
処方オーダリングシステムによって医師の処方があった際は迅速に薬剤室で調剤が行えます。その際、患者様の年齢、性別、体重に加え、肝機能や腎機能といった血液検査結果を確認し、医師の治療計画をカルテから読み取り、投与スケジュールを確認後、調剤します。
誤えんのリスクがある患者様の場合は、簡易懸濁法の提案や粉砕、他剤への変更を行います。
錠剤自動分包機で一包化の作業を効率的に行っています。必要に応じ、半割の対応も行います。
パラスターが導入されてからは自動分包機への補充がスムーズに行えています。
サテライト薬局へ繋がったダムメーターで配薬カセットや調剤した薬を迅速に病棟へ運べます。 救急外来を受診され院内処方となる場合は原則お薬窓口にて対応します。
・持参薬鑑別
入院患者様の持参薬の鑑別を行っています。
実際にお薬の持ち込みがない場合は、お薬手帳や情報提供書を元にお薬の鑑別書を作成し、医療スタッフで共有します。
必要時はMSWを介して医療機関へ連絡をとります。
この際、当院で代替薬があるのか、当院採用薬は同量であるかといった情報も合わせて記載しています。
当院薬剤室では、お薬手帳の持参の有無、病棟スタッフも持参薬の継続可否が分かりやすいよう工夫しています。
・入院前支援、手術日内服指示
入院前から術前中止薬や当日の内服薬の確認を行っています。予め患者様に入院前に中止してもらうお薬の説明を行います。
血液をサラサラにするお薬や糖尿病のお薬などが該当します。
カルテに画一化されたテンプレート、薬の休薬期間リストを使用することで効率化にも取り組んでいます。 入院後の手術当日の内服薬も画一化されたテンプレートを用いて内服調節を行います。
・定期内服薬の配薬カセットへのセット
原則、入院患者様の内服薬は薬剤師が配薬カセットにセットしています。
看護部門とは別に行うことで患者間違いや投与時間間違いのリスク回避に役立てています。ご自分で内服していただく患者様には原則病棟担当者が病室へ伺い対応しています。
・注射薬の調剤
内服薬と同様に処方オーダリングシステムによって迅速に調剤が行えます。
調剤した注射薬は処方毎にバーコードのラベルを貼って管理しています。医師がカルテで処方修正した際は、ラベルが更新され、修正前の薬は投与不可となります。注射薬では同時投与しても白濁しないかなどの配合変化を確認します。
そして内服同様、投与時間、投与方法、投与期間など確認します。
他スタッフが注射カートへのセットが終わっているか分かるよう札管理も始めました。
・消毒剤や医療機器の払い出し
消毒薬や病棟配置薬の払い出しは薬剤室への請求伝票を元に行います。糖尿病患者さんの医療機器の払い出しも支持箋を元にダブルチェック後にお薬窓口でお渡し対応しています。
・薬物血中濃度モニタリングTDM業務(バンコマイシン・テイコプラニン)
注射薬の中には患者様毎の個人差が大きくなりやすいお薬があります。その場合、患者様の年齢・体重・腎機能を元に計算ソフトを用いて、血中濃度を推定し、投与計画を立案します。血液検査を元にこまめに投与量を変更していくことで副作用回避・有効血中濃度の維持に貢献できます。
・注射薬混注(TPN調製)
クリーンベンチ内の無菌環境で栄養点滴の混注を行っています。使ったアンプルやバイアル、残量も監査者が確認しダブルチェックしています。対応するキャップ、遮光袋をつけて払い出します。
薬剤室では針ボックスを撤廃し、ハザードボックスへの廃棄で一元化しています。
手前がクリーンベンチ、奥が安全キャビネットです(左写真)
・外来及び入院患者の癌化学療法の推進
安全キャビネット内の無菌環境で抗がん剤の混注射を行っています。電子はかりの導入で秤量前後の質量データを安全キャビネット外でも確認できるようになり、より安全性が担保されました。
・疑義紹介
必要に応じて医師へ疑義紹介を行い、より安全な薬物治療に貢献しています。処方変更とならなかった場合も医師の処方意図を共有するために、疑義紹介結果をカルテに反映し、最適な医療に役立てています。
カルテとは別に疑義照会書類への記載も行っています。院外処方の疑義紹介も記載・保管しています。
・院内製剤の調製
市販されていない配合の薬を医師の指示のもと調製しています。
塩化亜鉛や硝酸銀の調製には濾過装置を使用します。統一化された調製手順書に従い調製を行い、使用期限も記載します。
定期的な耳鼻咽喉科の処置薬、手術用点眼剤の調製に加え、高濃度食塩水の調製依頼がされることもあります。
・医薬品情報(DI:Drug Information)業務
薬が不足している今、薬の入庫状況や添付文書の禁忌事項の変更などの情報を整理し、DIニュースとして医療スタッフへ共有しています。担当MRへの資料請求もこの業務に該当します。
・覚せい剤原料・向精神薬・麻薬の管理業務
これらのお薬の保管、管理、廃棄を行っています。保管表での残量確認は勿論のこと、現在は施与表に加え、空アンプル・シリンジの確認が習慣化できており、安全な管理体制を整えています。
・薬品品質・環境管理
薬剤室と病棟共に定期的な薬の保管環境の確認・記録を行います。救急外来での救急バッグや病院各所の配置棚、救急カートの薬の交換を定期的に行います。
薬剤室として迅速で安全に医療行為が行える環境作りを常に考えています。調剤棚には粉砕可否カードを配置し、迅速な問い合わせ対応、調剤過誤を減らす取り組みをしています。
・医薬品在庫管理業務(コストマネジメント)、発注業務
緊急時は各所に整備されている救急カートのお薬を処置に使用することがあります。
使用頻度の少なさも相まって短い期限のお薬もあります。毎月使用期限を確認し、注意が必要な薬には注意喚起シールで対応しています。
病棟在庫と薬剤室在庫のお薬の期限に乖離が生まれないよう定期的な交換も行い、廃棄されるお薬がでないよう工夫もしています。
医師からの要請で薬を臨時購入する際は、納入時期を医師に共有し、迅速な医療提供に尽力しています。
・病棟業務
患者様へ直接お話に伺い、持参薬や副作用歴の確認を行い、処方薬について説明を行います。患者様からの相談は勿論、多職種連携として他医療職からの相談対応も行います。必要に応じて処方変更や資料提供など様々な業務を行います。インスリンや吸入器のデモ器を用いた説明、手技確認、補助具の提案を行います。病棟配置薬変更の通知なども病棟担当者から病棟へ連絡します。病棟担当者はPHSを携帯することで医療スタッフ間の迅速な連携ができています。
・病棟担当者会議・薬剤室全体会議
朝礼での連絡事項とは別に、月2回朝の30分の時間で薬剤室会議を行います。
術前中止薬のリストやごみの区別表作成など多くの決定事項が普段の業務に反映されています。
効率化のために共有フォルダに事前に議題の募集を行い、会議後には議事録の保管をしています。
・症例検討会
メーカー主催の勉強会とは別で薬剤師が交代で月2回朝30分の時間で症例検討会を開催しています。
現在の治療計画について他薬剤師の意見がまとめて確認できる良い機会となっています。
実際会議後に治療方針について相談し、処方変更となったケースがあります。
治療困難例だけでなく、希少な症例として疾患についての発表、新規採用薬となった薬の機序や注意点、委員会での症例検討の結果発表での時間の使い方も認められており、意欲的に意見交換、幅広い知識の定着ができる機会となっています。
・地域交流
感染対策を行い、昨年から病院祭りを再開致しました。
薬剤室ブースでは、お菓子を使ったピッキングと自動分包機を体験していただき、お子様から大人の方まで楽しんでいただけました。
昨年は門前薬局の薬剤師の皆様の御協力もあり、白衣の記念写真も行った所かなり好評でした。
病院祭は、飾り付けに始まり、普段あまりお話できないお子様とも多く交流できる素敵な一日です。
健康な大人の方からも調剤体験の合間に病院薬剤師への素朴な質問をしていただけ、病院薬剤師を身近に感じていただける良い機会となっています。
毎年中学生の職場体験も受け入れています。薬剤室の説明に加え、ピッキング、自動分包機での分包、散剤秤量など行っていただき、病院薬剤師を知っていただく機会としています。
・教育・研修体制の強化と人材の確保及び育成
新人研修によって薬剤師として知識の定着、円滑な業務体制の構築を行っています。
院内必須研修としては感染管理に関する研修、医療安全に関する研修を行っています。 この度、新たに薬剤師レシデントプログラムを開始しました。
この機会に地域密着型のあま市民病院の良さを知っていただけたらと思います。
▼チーム医療への積極的参加
・参加チーム一覧
感染管理(ICT、AST)、褥瘡チーム、栄養サポートチーム(NST)、緩和ケアチーム、糖尿病サポートチーム、認知症サポートチーム
・委員会活動
化学療法委員会、医療安全委員会、薬事委員会、防災委員会、倫理委員会など
▼病院概要
・基本理念
あま市民の健康と安心を守るために、地域包括ケア・システムの連携につとめ、安全で質の保たれた医療を継続します。
・ビジョン
市民と連携機関に信頼され、健康と安心を提供する病院
・基本方針
- 安全で安心な医療を提供します
- 救急病院として役割を果たします
- 地域連携を推進します
- あま市民の健康づくりを支援します
- 多職種協働による医療者育成をおこないます
- 災害時の医療の継続に備えます
・薬剤室業務の時間割
平日:8:30~17:00 土曜、日曜日:8:30~12:30
・薬剤師の認定資格
感染制御認定薬剤師
日病薬病院薬学認定薬剤師
日本糖尿病療養指導士
認定実務実習指導薬剤師
・病院概要
名称:あま市民病院
住所:〒490-1111 あま市甚目寺蛙田1番地
代表電話:052-444-0050
病床数:180床(一般90、包括45、回復期45床)
診療科数:当院の診療科は、内科、外科、泌尿器科、小児科、眼科、放射線科、整形外科、脳神経外科、婦人科、麻酔科、リハビリテーション科、耳鼻咽喉科の12科目です。
月曜日~金曜日に外来診療を行っており、土曜日、日曜日、祝祭日は休診ですが、救急患者に関しては24時間体制で受け付けています。