【高度急性期から慢性期まで ~日本中で活躍できる薬剤師を目指して~】
市立奈良病院では2025年4月より薬剤師レジデントプログラムを始動します。
タイトルにあるように、日本全国どの地域においてもEBMを実践し、標準的な医療を提供できる薬剤師の育成を目的としています。
高度急性期病院である当院を基幹病院とし、地域中核病院の三重県立志摩病院および在宅医療に注力するシティ・タワー診療所に連携施設としてご協力いただき、多施設で学ぶことができるプログラムを計画しました。
このプログラムは、令和6年3月に厚生労働省が作成した「薬剤師臨床研修ガイドライン」において示される臨床研修の基本的理念、薬剤師が、「薬剤師としての人格」を涵養し、将来専門とする分野にかかわらず、薬学及び医療の果たすべき「社会的役割」を認識しつつ、一般的な薬物治療において頻繁に関わる疾病に適切に対応できるよう、「基本的な薬剤師力」を身に付けることのできるものでなければならない。という3つの要素を踏まえた2年間の研修スケジュールとなります。
卒後早期の段階で、薬剤師の基本であるジェネラリストとしての知識・技能の習得と、薬剤師としてのプロフェッショナリズムを身に付けていただき、日本の医療レベル向上に寄与する薬剤師の育成を目指しています。
【プログラムスケジュール】
3名のレジデントを採用し、当院でセントラル業務をはじめ医薬品の供給と管理、DI、病棟業務やチーム医療などについて学んでいただきます。1年次後半からは連携施設の三重県立志摩病院において、地域医療を中心に精神科病棟での業務を含めた研修が実施されます。1名ずつが2カ月間の研修を2度に分けて行うことにより、成長に伴う異なる視点での職能の発揮を期待しています。また2年次には、シティ・タワー診療所での1~2週間の研修において、主に在宅医療の現場で活躍する薬剤師の役割を体感していただきます。
研修期間中には薬剤師臨床研修ガイドラインにおいて必須項目とされる医療安全や感染制御、無菌調製およびがん化学療法などを含み、更には臨床研究および学会発表も実施していただく予定です。
2年間の限られた期間ではありますが、様々な研修を行うことで、薬剤師が身に付けるべき知識・技能・態度を補い、薬剤師の資質向上に資するプログラムとして計画しました。
【3年次アドバンスコースの設置】
プログラムを修了した後、希望者には1年間のアドバンスコース追加を予定しています。2年間で学び得た薬剤師力を地域医療において実践すべく、協会内施設における追加研修の設置を検討しています。
全国各地に系列施設を有する地域医療振興協会(JADECOM)だからこそ可能となる実践コースとなります。是非ともこのプログラムを経験し、日本中で活躍できる薬剤師を目指していただきたいと考えております。
市立奈良病院では、薬剤師レジデントプログラムの始動を決定し、急ピッチで準備を行ってまいりました。協会内では2021年より「東京ベイ・浦安市川医療センター 薬剤師レジデントプログラム」が先行始動しており、優秀な修了生を輩出しております。
加えて2025年には協会内にもう一つのレジデントプログラムが始動予定です。これらのプログラムはそれぞれが独立した形で実施されますが、その内容は共有され多くのアドバイスも頂いております。レジデント生の繋がりや、Webを用いた相互研修なども検討しており、JADECOMのスケールメリットを生かした研修の場を提供していきたいと考えております。
市立奈良病院 薬剤室長 米田 勝晃